最近よく翻訳会社から「部分訳」が依頼される。つまり似た文章は以前もあったため、変更箇所のみ翻訳対処となる。
それはそれでいいですが、今まで見た件数の中では例の「出来ている所」が問題だ。
「出来ている所」は「完成」=手出し不要と言う意味だ。しかし、ちらっと見たところ(本来私のやるべくことではない)で複数 / 多数の妙な箇所が目に入る。
例えば医療分野で使われるポンプ類のマニュアル、恐らくお客さんは勝手に英文を作って、それをドイツ語訳を依頼した、には "Machtschlüssel" と言う単語に出くわした。見たことも聞いた事もない。ネットで調べて、ヒット数も極めて少ないし、出て来るコンテキストは政治かパソコンゲーム。いずれの場合誰が勝手に作った造語だろう。
暫く考えて見ると、私は知らない原文(なにしろ、私の仕事ではない!)では恐らく "power key" となっているではないか。だったら誰でも分かるドイツ語は "Netzschalter" になる。
このような意味不明な「脱線」はきっと会社 =お客さんも、翻訳会社も、値段を抑えて商品を格安に仕上げたい願望に由来するだろう。結果:日本人は自分たちを恥さらしにしてしまう。
ご苦労様だね。
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7/15/2013
クラウドソーシング
先日仕事探しに東京まで言って "Job
Fair" と言ったエベントに参加した。幾つかの会社、大半外資系、が人材を探していることだった。
先ず目をつけたのは「翻訳業務をサポート」する人を探していた会社。どのような仕事かと聞いてみてとても信じられない話を聞かされた:
目指しているのは品質ではなく、何より安さ、とその次速さだけだ。通常の翻訳(和英訳、私の場合技術論文など、では単価が原文の一文字当たり9円前後)より遥かに安い:720文字分には2USD=一文字当たり0.2円 → 通常のレートの50分の一!
なのに貰ったパンフレットに(表に): "Would
you like to earn money?" そして裏面に:
Make
Money
Get
paid for your work via PayPal account.
Start
translating and earn money now!
しかし、どんなに簡単な文章であっても、720文字分=凡そ2ページの翻訳は2-3分で出来ない。早くできたとしても40分を考えて見ましょう。真面目に翻訳するなら1時間の方が妥当な数字。でもとりあえず40分で考えて見ましょう。時給に直してしまえば凡そ330円。神奈川県便りによると神奈川県の正式の「最低賃金」は840円となっている。一日8時間働いて、週五
日、で月給が5万円・・・
これは "earn
money" とは言えるだろうか。月に5万円でどうやって生活すればいいのだろうか。
私は翻訳者としてそのような「奴隷制度」をサポートするのは道徳にもとるとしか思わざるを得ない。
そして「翻訳者」は一種の職人だ。まともな翻訳者はそれなりの「職人気質」があるはず。それはこのような制度=ビジネスで踏み潰されてしまう印象だ。
だがお客さんが喜んでいるのなら、日本や他の先進カ国で真剣に仕事をしている職人が全員失業させられ、残ってしまうのは格安=品質の悪い=意味不明な「翻訳???」それでいいのでしょうか。
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